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誓い 前編

音子です。

やっと、やっと戦国さこみつの更新です!
三成が妓楼に乗り込むあのムービー(タイトルを忘れました★)をベースに、
再会を捏造してみました。

世間が「3」発売のカウントダウンをしているというのに・・かなーり涙目ですが;;
(どんだけKYなんだ!)
お付き合いいただければうれしいです。


以下は注意書きでございます↓
■「全ての始まり」から微妙に続いています
■前・後編の二部になる予定
■シリアスで糖分控えめ
■左近が三成を苛めます

まだまだ2も熱い!という方は、<続きを読む>からどうぞっ。







とある妓楼の座敷。
左近は女達を侍らせ、酒を飲んでいた。
肴は三味線と音色と脂粉の香。
杯を傾け一息に酒をあおるたび、黄色い歓声が上がる。

飲みぶり男ぶりに加え、羽振りまで良い客。
三拍子揃った左近に、女達はこぞって笑みを浮かべ色目を使った。

-まだ飲みますの
-お強いのねぇ

甘い言葉に応えるように、左近は慣れた手付きで遊女の身体を引き寄せる。
酒を注がせていると、勢いよく襖が開いた。

遠慮という言葉を置き忘れてきたような訪問者に、座敷はしんと静まりかえった。
凜としたたたずまいと水際立った容姿。赤い装束。
最後に会った時と、同じ角度で合う視線。


見覚えのある男は、石田三成その人だった。

                             *


もう会うことはないだろうと思ってたが・・・まさか妓楼へお出ましとはね

戦の基本は敵の裏をかくこと、と言う。
突然の来訪は、左近を驚かせることに成功した-が、あいにくこれは戦ではない。
もう少し場所を選んでくれと言いたいところだったが、来てしまったものは仕方が無かった。

悪事を暴いたかのような鋭い目で、座敷を見下ろす三成。
なぜ俺の方が居心地の悪い思いをしているのか、いささか不本意な思いを抱きながら。
ともあれ、今は牢人となった己を訪ねる理由は左近も見当がついていた。

-仕官しろってことか

左近に仕官を乞う者は、三成が始めてではなかった。
左近が主の不義に怒り、筒井家を離れたという話は、
大名達の間ですでに広く知られている。
有能な軍師として名を馳せた左近が、牢人のままで捨て置かれるはずはなく。
これ幸いとばかりに大名やその使者から多くの誘いを受けた。

だが。
軍略の鬼才武田信玄
温和で民を思う心の強かった筒井順慶
この二人を越える者には出会えず、左近はその誘いを断り続けていたのだった。

「また仕官しろというお大名かい。一万五千石の禄を蹴って牢人してるんだ。
それ以下じゃ仕える気はありませんね」
「二万石出そう」

入れかわり立ちかわり己を訪ねる使者に、左近は少々嫌気が差していた。
己の軍略を買ってくれるのは結構なことなのだが-
使者達は一度断るだけでは引き下がらない。
-三顧の礼の諸葛亮も、実はそのしつこさに根負けしただけのではないか
そんな思いがよぎった左近だったが、己は諸葛亮に比するべくもないと考え直した。

少しは困ればいいとばかりに、面倒臭げに吐き出された言葉。
だが市で買い物をするほどにたやすく返された答えに、左近の物憂さも飛んでしまった。
ためらくことなく吐き出された言葉は、虚勢でも何でもないらしい。
その調子は野菜や酒を求める時と変わらなかった。

「三成さん、二万石と言えばあんたの禄の半分だ」
正気かい?
毛利や北条のような大大名ならともかく、三成の石高からすれば、
決して安い買い物ではない。
全く、若いってのは恐いもの知らずだ。
目の前の男に過ぎし日の己を重ねながら、左近は何ともいえぬ気分になった。

「名乗りもせぬのに詳しいことだ 牢人すれど情報収集は怠らぬか」
左近の前で仁王立ちしている三成は、禄のことなどとうに納得済みらしい。
左近の感傷を断ち切るように、話の矛先を変えた。 

三成はどうやら左近を誉めるつもりだったらしいが、左近の耳には挑発にしか響かなかい。
三成より格上の大名でさえ、頭を下げて願い出るというのに-
その気はまるでないらしい。

変わらないねえ、山崎の頃と。
左近の中で初めて会った時の記憶が、じわじわと蘇った。


口の悪い美人。
それが三成の第一印象だった。
器量は色好みの左近も唸るほど整っていたが、左近に男色の気はない。
優れた容姿以外は、ただの生意気な若者だ。
すぐに忘れてしまうだろう-左近はそう考えていた。

だが山崎の戦から時を経ても。
ふとした瞬間に左近の思考の隙を突いて、三成の顔が浮かぶことがしばしばあった。

  己に向けられた鋭い視線は、どういう意味だったのだろう
  俺に何か因縁でもあったのか

確かめることの出来ない疑問が、左近の中にわだかまる。
理由が分かれば、これほど思いわずらうこともなかったのだろうが。
指に棘が刺さっているような違和感が、左近に三成を意識させた。

石田三成とは、どんな男なのか
瞳に秘められた強い光が本物か偽物か-
気にかかるのなら、いっそ自身で確かめれば良い
物珍しさと下世話な関心(三成が女なら口説いていたかもしれなかった)も働き、
左近は三成のことを調べていたのだった。


「島さま、島さま」
気がつくと、空いた杯に酒が満ちている。隣の女が注いだらしい。
女の声で現実に引き戻された左近は
この訪問が、視線の答えか-と思った。

やっと示された解答に、左近は霧が晴れたような感慨を覚える。
山崎での対面と、己の軍師としての評判。
それを糧に、己を迎えたいという思いを膨らませていたのか-
懸想にも似たそれが見目麗しい三成からのものとあっては、左近も満更ではない。

切れ者と評判の高い、駆け出しの大名。

三成の文吏としての能力は、左近も認めている。
だが世の中は仕事さえ出来ればいいというものではない。
万事経験豊富な左近から見れば、三成はひよっこ同然。
第一印象のまずさも相まって、素直に仕えたいとは思えなったが。
鋭さと脆さ(もろさ)が奇妙に同居するこの若者に、好奇心が湧いたことも確かだった。 

どこまでも強気なこの男を、試してみたい-
左近はそんな衝動にかられた。
大名と牢人。身分は違えど、家臣になるならないの決定権は左近にあるのだ。
三成はいわば、左近の手のひらの中。
せっかくの機会だ、山崎の意趣返しもかねて-その覚悟、見せてもらおう
己の腹づもりはあくまで隠しつつ、左近は先とは打って変わった笑顔で言葉を紡いだ。


「ええ。あなたのことはよく存じていますよ、石田治部少輔三成殿。
寺小姓でいたところを秀吉公に見初められたそうですな。山崎・賤々岳の戦の功を
買われ、近江水口四万石の領主となられた・・・
そのお人柄から秀吉公をはじめ諸候の信頼もお厚いとか」

左近は三成が「平懐者」と噂されていることを知っている。
慇懃な言葉の裏に潜ませた毒に、三成はピクリと眉を吊り上げた。   
「皮肉はいい」
「そりゃあ失敬」
謝罪は口先だけに留めておいて、ふてぶてしい態度は崩さない。
三成を苛立たせるかのような対応は、もちろんワザとしていることだ。

「俺のことよりも、島左近。お前ほどの男が牢人など・・
 こんな場所でくすぶっていて良い筈が無い」
「一応礼は言っおきましょうか。ですが、牢人も気楽でいいもんですよ」
「嘘だ」

直情すぎる物言いに、左近は思わず鼻で笑ってしまった。
山崎では戦場の興奮のせいか苛立ちもしたが・・冷静になってみれば
目の前の男の言葉はまるで子どもの物言いだ。

「嘘なんてつきませんよ。人間五十年って言うでしょう・・俺はもうずいぶん働いてきた。
 余生を己の欲のまま生きても、罰は当たらんでしょう。なあ?」

左近はそう言って、傍らにいた女の胸に顔を埋めた。
「きゃあ、島様ったら」
媚を含んだ笑い声が響く。
女と戯れる左近の姿に、三成は露骨に眉をひそめた。
「そのようなこと・・お前が最も嫌う性質(たち)のものではないのか」

左近のかつての主・順慶の後を継いだ定次は、酒と女色に溺れる放蕩者だった。
どうやら三成は筒井家の内情まで調べているらしい。
端整な容姿に違わない潔癖な性格は、左近にさもありなんという思いを抱かせた。
人は見た目で判断出来ることもある。

「そりゃあ、主としての務めも果たさないお殿様には憤りもするがね。
俺は牢人で、誰に迷惑を掛ける訳でもない。 立場が違うでしょう。
アンタ、俺を聖人君子と誤解していやしませんか?」

左近の言葉は三成にとって図星だったらしく、反論は無い。
まだまだ青いねえ。
左近はクツクツと喉奥で笑い、女に酒を注がせた。
-だがここで追い返してしまっては、つまらない
そう思案した左近は、何事もなかったかのように女との語らいに興じることにした。

嘲笑され。
目の前にありながら無視されるというのは、屈辱だろう。
だがここで折れるようなら、それまでの男だということ。


さあどう出る、三成さん?


左近は横目で三成を見上げた。



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Author:音子(ネコ)
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