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想い


音子です。
予告していた「誓い」の続きです。
連休中にupするつもりだったのに!仕上げに手間取ってしまいました(汗)

先の作品では恋愛を超えた主従のつながり、を目指したのですが
萌え尽きました(→× 燃え尽きました)。
やっぱり腐的にオイシイものが必要です(*´∀`*)


という訳で注意書きはこちら↓

■ほのぼの風 穏やか仕立て 
■←けど腐的にはヌルメめです(^^ゞ
■だらだら長いです
■左近が急に優しくなります
■蛇皮線イベントが好きな方にオススメ

注意書き、というよりお品書きみたいだ・・。
あと「オススメ」なんて言って、大丈夫か自分!ちょっとドキドキですが。

読んでくださるという方は、<続きを読む>よりお入りくださいませ。






人払いを済ませ、左近と三成は二人きりになった。
遠くの部屋から聞こえていた笑い声や音曲も、いつの間にか鳴りを潜めている。
妓楼とは思えぬほど静かな空間。
遊び人の風情を脱ぎ捨て三成の前に正座した左近は、すっと背筋を伸ばした。

まずは、新たな主に謝らねば。
本当に仕官することになるとは思わず、随分と無礼な物言いをしてしまった。
しかもそれを楽しんでいたのだから、なおのこと性質が悪い。
自尊心の高い主は、内心相当腹を立てているかもしれぬ。
堅苦しいことは苦手だが、けじめは必要だ‐豪放に見えて律儀な左近は思う。
わだかまりを残さぬよう、左近は神妙に頭を垂れゆっくりと口を開いた。

「先は失礼を申しました。お咎めを受ける覚悟は出来ておりますので、
 いかようにもご処分を」

左近の別人のような豹変ぶりに三成は驚いたようだったが、すぐに冷静さを取り戻した。
「先ほどまで俺とお前は主従ではなかったのだから、構わぬ。水に流そう」
思いのほか寛大な言葉に、左近は胸を撫で下ろした。
「そう言って頂けるとありがたい。これからは誠を尽くしてお仕え致しますので・・・」

「待て」
左近の長い口上は三成の一言で遮られた。
「は」
「慇懃も度が過ぎると、馬鹿にされているようで気分が悪い」
左近の安堵もどこへやら、三成の毒舌は健在だ。
歯に衣着せぬ物言いに、左近は内心苦笑する。

「それはすみませぬ。どうすればご満足いただけますか」
「堅苦しい口上はいらぬ。普段どおり話せ」

家臣に向けるものとは思えない言葉は、己が同志だからだろうか
ともあれそれは左近にとってもありがたい命令だったので、素直に従うことにした。


「承知しました・・・・・いやあ、殿は格式張った方がお好きかと思いましてね」
先ほどまでの神妙さが嘘のように、鷹揚な笑みを浮かべる左近。
親しみやすいが慣れなれしくもなく、距離感をわきまえている‐そんな話し方だった。

「好き嫌いというより、先と態度が変わりすぎて居心地が悪い」
「やっぱり不自然でした?」
「わざとらしすぎて、信用出来ぬな」

どこか茶目っ気のある問いかけを、三成は一刀両断する。
ここまでハッキリ言われてしまえば、左近もいっそ清清しい。

「殿にはかないませんなあ」
そう言って破顔すれば、三成の表情が少し和らぐのが分かった。

冷静で厳しい表情をしている三成。
左近はそのりりしさに惹かれたのだが、晴れて主従となったのだ、
笑った顔が見てみたいとも思った。

悔しさ、苛立ち、怒り。
先ほどまでの三成は、左近に様々な感情を臆することなくぶつけてきた。   
整ったつくりをしているが、血の通わぬ人形とは違うはずだ。

‐しかし、虫が良すぎるかな
つい先ほどまでの己の所業を考えれば、そう簡単に心を許すとも思えない。
自分で障害を増やしたことに後悔を覚えつつ、思案する左近の目に入ったのは
酒の入った徳利だった。

「酒を一献いかがです?」
左近の申し出に応じた三成は、ゆっくりと杯を差し出した。



酒豪の左近とは対照的に、三成はあまり酒が得意でないらしい。
舐めるように飲んでいるにも関わらず、四半刻もすれば顔がほんのりと赤く染まった。
‐俺は水のように飲んでも、酔えませんがね

下戸なところも、初々しさを感じさせて何やら微笑ましい。
足並みを揃えるようにして酒を酌み交わすのは、少々じれったいものがあったが。
一人酒にはない趣は左近の心をじんわりと温めた。


「それにしても・・報いてくださるとは、このことだったのですね」
左近が言うのは山崎の戦のことだと、三成はすぐ分かったらしい。
覚えていたのか、という答えが返った。

「ええ、そりゃあもう」

〈報いよう、いずれな〉
あんなに不遜な台詞は、忘れようにも忘れられませんよ‐
というのは心の中だけに秘めておくとして。
三成のことを生意気な若造と思っていた自分が、懐かしいと左近は思った。

「殿は、山崎の戦の時から俺のことを?」
「・・・出来る男だと思った」
沈黙の後に返された答え。
やはりと思う一方、本人から直接告げられると感慨深いものがある。
山崎で会った時から、もう二年は過ぎてる筈なんだが-よく覚えていたもんだ
そう考えて、己も同じだということにハタと気づいた。
まさか仕官することになるとは思ってもみなかったが、左近も三成のことをずっと覚えていたのだ。

-あのまっすぐな目と、赤い装束のせいだな

左近が三成のことを思い出すのは、赤いものを目にした時。
山崎以来、赤は血でも遊女の襦袢の色でもない。
三成の色になっていた-ということに左近は気づいた。

「仕官などありえない」
ことさらに否定しようとしていたのも、三成を意識していたからかもしれぬ。

嫌よ嫌よも好きのうちってね
色恋沙汰のような話に、参っちまうなと思いながらも。
互いに意識していたという事実に、不思議な縁でつながっていたのだと感じずにはいられなかった。


「そうですか。直々においでいただけて、光栄ですよ」
「フン、心にも無いことを」

左近の言葉を皮肉と受け取ったらしい。三成は鼻を鳴らした。
水に流すと言いながら、根に持っているじゃないか。
毒を吐く唇にあきれながらも、よくよく考えてみれば。

左近は三成と語るうちに、その志を尊敬するようになった。
心境の変化は左近自身も驚くほどだ。
だがその心の内を口に出していないのだから、三成が誤解をしても不思議はない。
これは早く訂正しておかねば、と考え左近は早速口火を切った。

「殿」
「なんだ」
「左近は嘘をついてはおりませぬ。俺は確かに殿の志の高さに感服したのです。
良き主に巡りあえた‐そう思っております」
「・・・・左近っ」

真摯な表情で告げる左近に、三成は声を荒げる。
食い入るように見つめる左近に耐えかねたのか、三成は不意に視線を反らした。
そして。

お前の心は分かっている
俺は憎らしい物言いしか出来ぬのだ、と。


怒ったような困ったような表情で(声も少し上ずっていた)、
驚くほど素直な答えを返してきた。

これが平壊者の石田三成なのか  
思わぬ落差に、左近は思考が追いつかず一瞬固まってしまう。
だが主の手前、あまり呆けてばかりはいられない。 

つまり憎まれ口は、照れ隠しだったってことですか

そう悟った左近は、無性に主が可愛らしく思ってしまった。

「殿は素直でいらっしゃいますなあ」
お可愛らしい、と口を滑らさなくて良かった。 危ない危ない。
安堵していた左近だったが、三成は「素直」という言葉もご不満らしい。

「お前が妙なことを言い出すからだろう!」
と告げた顔は、目がキッと吊り上っていた。
怒り顔も二度目のせいか、先ほどの迫力は感じない。
美人は怒る顔までさまになる、などと呑気なことを考えながら。
心の内はおくびにも出さず、年長者の余裕で切り返す。

「そりゃあすいません。お互い疑いを抱えたまま主従になるのは、よろしくありませんからな」
-左近も殿に誤解されたままでは困りますから、つい必死になっちまいました

おどけた口調ではあったが、素直に謝る左近。
元を正せば三成が自分で蒔いた種。それに左近の謝罪に、溜飲も下ったのだろう。
「俺に仕えると言うのなら、その位悟れ」
三成はそう言ったきり会話を打ち切ってしまった。

主の言葉を聞いて「そんな無茶な」と思った左近だったが。
キツい言葉とは裏腹に、当の三成はバツが悪そうな顔をしている。
加えて手持ち無沙汰が嫌なのか、憂さ晴らしなのか、手酌で酒を飲み始めた。
そのさまは左近から見れば、ひどくぎこちない。

ああそうか。
高飛車な言動ばかりが目につくが、本当は素直で不器用なお人なのだ‐
そう考えると、左近はこの主の言葉がどれも違って見えてくる。

-強がっちゃって
本気で腹を立てるほど左近も若くない。
中には虫の好かない奴、と毛嫌いするものもいるようだが。
左近はむしろ甥っ子を見るような気分になった。

<お前の心は分かっている>
意外に大胆な言葉を吐いてくれるものだ。
少しは歩み寄ってくれたのだと、自惚れてもいいのだろうか?
そんな思いを抱きながら主を見やれば、眉根を寄せまだまだ仏頂面をしている。

平懐者には似合わぬ本音を告げたせいで、居心地が悪いのだろう。
だが誇り高い主は、自分から弁解するような真似はきっとしない。
からかってやるのは簡単だが、今はささやかな意地を通させてやりたい-
そんな気分になっていた。

やれやれ、仕方ありませんなあ
どこか甘いため息は三成に向けたのか、己に向けたのか。
あるいはその両方なのかもしれない。
左近はこっそり助け舟を出すことにした。



「あっ、そういえば」
「急になんだ」
やぶから棒な左近の突然の叫びに、三成は眉をひそめる。
「さっき俺の名前を呼んでくださったでしょう」
「ああ。それがどうした」

「嬉しいのですよ。 主従!って感じがしません?」

ニッと笑う左近に、刺さるほど冷ややかな目を向ける三成。
「名は呼ぶためにあるのだろう」

冷静すぎる視線が痛い。
どこまでも強気な-主らしさを取り戻してほしいと口を開いた左近だったが
効果はてきめんだったようだ。
‐素直すぎるのも、ちょっと考えモンだが
どうやら「愛想」という言葉は三成にはないらしい。

そりゃまあその通りなんですがね、と前置きして左近は続ける。
「殿も秀吉公からお名前を呼ばれて、嬉しかったことはありません?」

しばらく考え込んでいた三成だったが。
「仕え始めた頃は、な・・・ずいぶん昔の話だ」
という答えが返ってきた。
同じような経験があることに安堵しつつ。
二十を超えたばかりの若者の口から、昔の話などという言葉が出るのが
左近は何だか可笑しかった。 
あなたでずいぶん昔なら、俺の若い頃など大昔だ。

幼い頃の主は、どんな顔をして喜んだのか。
きっと、今と変わらず不器用なのだろう。
思いを馳せながら、左近は笑顔でうなずいた。

「今の俺の気持ちは、それと同じです」
「まるで子どもではないか」
「ええ、左近の心はいつまでも純粋なんです」

胸を張り、ことさら得意げに答える左近。
「おかしな奴だ」

ほんの一つまみ、砂糖を入れたような。
微笑むというよりは、頬をゆるめるといった位の変化だったが。
三成は確かに笑った。

そんな顔も、出来るんじゃないですか

ぎこちなさのない自然な笑みは、涼しげでいて温かい。
そして少し得意げな表情をしているのが、何とも可愛らしい。
「してやったり」というよりは素直な喜びが、心を満たしてゆくのを左近は感じた。


「まあそんなおかしな軍師ですがね。これからよろしくお願いいたしますよ、殿」
「ああ。よろしく頼む」

改めて交わした主従の誓い。
左近は三成に仕えるのが楽しみだと思った。















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



蛇皮線イベントの焼きまわし作品でした(コラ)
仲が良すぎる+殿がちょろいなど色々あるかと思いますが、
今夜だけは大目に見てくだされば(>_<)

三成はツンデレラなんです。
十二時を過ぎるとデレの魔法が解けて、またツンツンに戻ります!(←アホ)

「全ての始まり」からの連作を、何とか完成させることが出来て良かったです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!






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音子(ネコ)

Author:音子(ネコ)
♀ 関西在住
アニバサ→歴史小説→無双へ 
殿の美貌にメロメロです・・・v
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